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館長だより(2003年12月号)

生涯学習先駆けの地「水橋」

2003年12月
財団法人水橋郷土史料館
館長  浜谷 尚生

 先年、富山県公民館活動50年の沿革をまとめる機会がありました。資料を集めて調べるうちに、水橋での文化活動が古くからきわめて盛んだったことを知って大いに驚き、記述の一部で紹介したのでした。

 例えば、大正末期結成された文芸サークル「水郷詩社」は、文芸誌「水郷」の発刊とともに3年にわたって水橋夏期文化大学を開催しています。講師としては、芦田均、相馬御風、帆足理一郎など今に名を残す各界の著名人を招いていて、その豪華さには目を見張るばかりです。また、富山市で最初(県ではニ番目)の古い図書館「真理館」は、やはり水橋の有志によって設立されていて、先だって水橋高校図書部の生徒が、そのことを調査し、学園祭で発表しています。図書館についていえば、大正から昭和にかけて私設図書館「東水文庫」が設立されました。水橋出身の角川源義氏による角川書店の創立も、このような風土と決して無縁ではないと思います。

 最近、当館ではA3一枚の案内パンフレット「水橋の筆塚・記念碑」を作成しました。筆塚は寺子屋や私塾の師匠の人徳をたたえ、感謝の気持ちをこめて門弟が建立したものです。表にした筆塚の数が12基、その数の多さは近隣の地域を圧倒しています。

 では、何がこの地の人々を勉強好きにしたのでしょう。その理由として、売薬と北前船の隆盛をあげたいと思います。
まず、売薬さんは当時ひとかどの文化人でした。旅の道中諸国の様々な情報を吸収し、得意先との親交を深め信頼を得るために様々な話題を提供し、時には芸を披露することもあったでしょう。文盲が少なくなかった時代、得意先で書類づくりを頼まれたことも多かったと聞いています。また、売薬さんが旅から帰っていたと聞いて、近親者や近所の人が集まり様々な話に聞き入ったことは想像に難くありません。水橋の人たちの、そして富山県人の学びへの意欲の深さに売薬の歴史が深く関わっていることは確かです。
さらに、北前船は交易や物流にだけでなく、各地の文化の交流や伝播にも大きな役割を果たしましたし、航海術を身につけたり商才を磨くためには、幼い頃から学問の道をおろそかにすることができませんでした。本館には、今述べた売薬と北前船の資料が豊富に展示されています。

 探求心や向上心は、今も水橋の人々に脈々と受け継がれています。文芸サークルや演劇サークルをはじめ様々な文化サークルが活動を続け、人口に対する公民館利用者の比率は市内でも群を抜いています。

 水橋郷土史料館から、今回ホームページを通して様々な情報を発信することになりました。全面的に、しかも無償でその労を取ってくださっている加賀谷さんには心からお礼申し上げます。そして今回のホームページ開設が、当館のいっそうの飛躍につながるように努めていくつもりです。

 
浜谷 尚生
Hisao Hamaya
(略歴)
平成十四年財団法人水橋郷土史料館館長に就任、現在に至る。
 
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2003.12.6